はつり。
一般には使わない言葉でしょうか。
はつりと言ってわかる人はどれくらいいるのでしょう。
はつりとは、コンクリートや岩盤をノミで突っついて、壊すこと。
壊すときに相当大きな音と、衝撃が発生するので、"突っついて"という言葉は少し雰囲気が合わないように思いますが、いずれにしろコンクリートを壊す作業で機械や手でもつ工具で行う仕事です。
橋の補修方法にはいろいろありますが、今回の場合は悪いコンクリートを取り去って、良いコンクリートに置き換えるという方法を取っています。
この方法を断面修復工法といいます。
ここで、さっきと同じように"取り去って"だとか"置き換える"だとかいう言葉を使っていますが、実際の現場で行われる作業はもっとヘビーで重労働です。
この橋のコンクリートは悪くなっているとは言え、大部分は普通に硬いコンクリートです。
金槌でたたいて壊れてしまうようでは、とても危なくて上を車で走れません。
だから手で持てる機械で激しく突っついてえぐり取ってしまうのです。
街中のビル解体現場ではパワーショベルで派手に壊しているのを見かけますが、橋の補修の場合はコンクリート表面から深さ3cm程度だけはつります。
大きな機械で壊せばどんどん壊れますが、それでは橋がなくなってしまいます。
必要最小限のコンクリートだけ取り除くのですから、人の目で余分にコンクリートを取ってしまわないように、さらに鉄筋が傷ついていないかよく確認しながらの作業になります。
地味な作業ですが、やっている人は大変です。
ハンマーはなるだけ小さなものを使いますが、それでも重さ5kg程度あります。
そのハンマーを横に向けたり、上に向けたりしてコンクリートをたたくのですから、きついことといったら文章では伝えられないくらい、我慢我慢の連続だと思います。
想像ですが、きっとフルマラソンを走るくらい我慢が必要な作業ではないかと思います。
作業をする人たちは普段から体の鍛え方が違うので、私などが手伝いたいといったところで邪魔なだけだとは思いますが。
話を元に戻しますと、悪いところをはつり取ったあと、鉄筋のサビを除いて、サビ止めを塗り、その後モルタルを塗りつけます。
モルタルはコンクリートから大きな石を除いたもので、砂とセメントと水から出来ています。
これで、断面修復工の作業は終わりです。