机上の空論では・・・

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来週15日火曜日~19日土曜日の夜9:00から朝6:00静清バイパス上り線千代田上土インターチェンジのオフランプ(出口)を閉鎖して情報BOXの耐火防護を行います。

15日~19日間の予定ですが、終わり次第規制は解除します。 

ご通行の皆様には大変ご不便をおかけしますが、なにとぞご理解の上協力のほどお願いいたします。

 

夜間のため交通量は少ないとはいえ、道路を一部通行止めにするため一般の交通に大きな影響を与えます。

実際、警察や国土交通省はできれば通行止めを避けたい思いが大変強く、施工業者としてもなるだけ通行止めは避けたい、したがって他の方法がないものか検討を行いました。

 

この工事を受注してしてまもない9月、まだ準備期間中であった私たちは道路を通行止めにせず作業ができないものか実験を行いました。

これがその実験の様子です。

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道路を通行止めにしないためには、道路以外のところから作業を行わなくてはなりません。

オフランプの隣、高架橋の下には国土交通省の所有する土地があり、現地はバイパス工事のための資材置き場となっていました。

この場所に高所作業車を設置して作業できないものか、当日の作業の様子を再現してみました。

 

この高所作業車はトラック型のブーム式でデッキタイプ。

この工事ではメインでしている高所作業車の形です。

ここで、高所作業車について少しウンチクを書きたいと思います。

 

高所作業車は大きく分けてクローラ型ホイール型があります。

クローラというよりキャタピラと言ったほうがわかりやすいかもしれません。

さらに作業台の広さによりバケットタイプ(人が二人乗って一杯)とデッキタイプ(人と荷物をあわせて最大1トン程度までOK)に分かれます。

また、作業台を移動させる方式によりブーム式垂直上昇式(シーザー式)があります。

 

特徴をまとめると・・・

<走行部分での区分>

トラック型:移動速度が大きい。公道を走れるトラックと工場内などで使う小さな車体(電動・エンジン両方あり)のものがある。

クローラ型:無限軌道とよばれるクローラーは悪路で威力を発揮する。

<作業台での区分>

バケットタイプ:作業台は狭い。作業車本体を移動させず、より遠く、より高いところで作業が出来る。電気工事でよく使われています。

デッキタイプ:作業台が広いので大勢の人、荷物を載せることが出来る。

<作業台の移動方法>

ブーム式:作業車本体を中心に作業台を360°色んな方向にもって行くことが出来る。つまり作業半径が大きい。

垂直上昇式:作業台は上下にしか動かないが、作業中機械自体が安定しているためある程度の高さであれば作業台をあげたまま走行できる。(ただしトンネル点検車はブーム式でデッキを上げたまま走行できます。)

 

今回この場所では、公道で作業することが多いので現場に搬入するのが簡単なホイール型(トラック型)を、そして耐火材をたくさん乗せられるデッキタイプ、さらに作業車を移動しなくても広い範囲で仕事の出来るブーム式をメインに使用しています。

一言で言うと、トラックマウント型ブーム式デッキタイプ。

・・・ほぼそのまんまですね。

 

さて実験の様子に戻ります。

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先ほどの写真の高所作業車のデッキを情報BOX(橋梁の下、写真の緑色の桁の左に少し見える)に近づけるとこれ以上上に作業台がいけないことがわかります。

この写真では少しわかりにくいかもしれませんので、2回目の実験の様子をご覧ください。

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なぜ上にいけないかというと、これ以上情報BOXに近づくには一度車道に作業台を出さなくてはいけないからです。

もちろんこの実験では作業台が車道に出る前にやめています。

隣を走る車のスピードが結構速くて、実は車道に出ていなくてもかなり怖かったのを覚えています。

 

結果的に、高架橋の下から作業するのはオフランプを通行する車両と、作業台やブームが接触する危険性が高いと判断して、断念しました。

そして私たちとしてはこの場所ではオフランプを通行止め(オフランプ閉鎖)することが最も安全な施工方法だという結論に達しました。

 

実験の目的はできれば通行止めを行わず作業が出来ないかを検証するためだったのですが、残念ながら逆の結果になってしまいました。

しかし、実際の機械で現地確認したことで、今後の作業計画を立てるのに非常に役に立ったと思います。

机の上で図面を書き、カタログの性能表の数値を頼りに計画を立てるのはコストもかからないし時間もかかりません。

でもそうやって立てた計画は現地で通用しないことが、意外と多くあるのです。

 

ちなみにこの実験、なぜ2回行ったかわかりますか?

 

写真を見ればわかりますが、高所作業車のブームの根元の位置がこの2台は違うのです。

1台目は車体前方に、2台目は車体後方に旋回する部分が着いています。

つまり作業できる範囲がこの2台は異なるのです。

結局両方ともだめでしたが・・・。

 

この実験の結果を私たちの客先である国土交通省に伝えたところ、それでも通行止めは認められないということで他にもいろいろ検討しました。

しかし最終的には工事の安全を確保することが一番大切だという考えでまとまり、オフランプの閉鎖が決まりました。

 

市民の皆様には工事には無関係の方々がほとんどですが、工事の安全のため仕方なく道路を通行止めすることをお許しいただきたく思います。

今回は大変長い文章になってしまいました。

 

当日の夜も決して事故を起こさないように細心の注意を払って作業を行います。

よろしくお願いします。

このブログ記事について

このページは、耐火工事屋さんが2009年12月11日 18:13に書いたブログ記事です。

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